80%で動く。AI時代の仕事のスピード感|AI時代の地平線3

あさこ

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カルチャー

動き出してみたら、わかってきた。
仕事の中心にAIがあるって、どういうことなのか。

AIがここまで騒がれる少し前、2023年1月から、Bit BeansはAIを会社の中に取り入れてきました。
今では、全員がアプリをつくれるくらいには活用できています。
でも最近、こう思うんです。
AI時代に本当に変えなくてはいけないのは、仕事のやり方だけではなく、自分が自分に抱いている自己認識である、と。

全4回に分けてつづる、AIの使い方の話ではなく、これからの世界をどう見るかという話。
3回目は、AI時代のスピード感のお話です。
(1回目はAIに仕事を奪われる論争に、終止符を打とう|2回目はAIを使う力は、ドライビングテクニック

判断が圧倒的に増えた

先日、社内のある人がAIがなかなか習慣化しない理由として、「AIへの問いが難しいんですよね」と言っていました。
たしかに、AIをまだ仕事の中心に置いていないときは、
「何を聞けばいいんだろう」
「どう聞けばいい答えが返ってくるんだろう」
と考えていたかもしれません。                           

でも最近のわたしは、むしろ逆の感覚を持っています。
「〜をする」という宣言をAIに投げるところから始めて、AIを使えば使うほど、AIから提示された選択肢や可能性に対して、ずっと判断をしているイメージ。

会社を運営する社長なので、判断することには慣れています。
それでも毎日の問いかけ、それに対する判断はすごく増えている。
AIが調査・整理・案出しなどを高速化した結果、
それは違う
それはイヤ
それならOK
って仕事中ずっと細かい判断をしている感じ。
そして最終的に「それでいこう!」の判断も、1日に何度もすることがある。

これが、AI時代のスピード感

たぶん、これがAI時代の仕事のスピード感なんだと思います。

AIで調べる→AIで整理する→AIで比較する→AIで案を出す→AIと次にやることを考える

今まで人間が時間をかけていた部分をAIがどんどん短縮していくことで、その先にある「判断」が、ものすごい速度でやってくる。
一つ決めて動くと、また次の選択肢が出てくる。
それを決めて動くと、さらに次が見えてくる。
判断して、動く。
また判断して、動く。
時には動きながら判断もする。

その周期そのものが、以前とはかなり違う。
そしてこれは、自分だけが速くなったという話ではありません。
会社も、競合相手も、取引先も、個人で仕事をしている人も、AIを使えば同じように速く動ける。

昨日まで検討していたことを今日形にする。
今日思いついたことをその場で試してみる。
そんなことが、以前よりずっと簡単になった分、世の中が高速で回転しはじめている。
つまり、ビジネスそのものがこの速度で動き始めています。

そんな時代に、考える時間や整理する時間をこれまでと同じ感覚で使っていたら、スピードについていけなくなる。
完璧主義の人には難しいかもしれませんが、100%じゃなくても80%で動く。走りながら考える。
やり直せることなら、100%を待たずに80%で動いて、経験しながら調整していくのが、今の時代の動き方ではないかと思う。
確かにものによっては100%でないといけないものもあるけれど。
では、100%じゃなくて80%でいい、その判断はどうやって行うのでしょうか。

リスクから逆算する癖をつける

経営者に判断を求められたとき、多くの経営者は無意識に、その判断の先にあるリスクを見ています。
この判断を間違えたら、何が起きるのか。
元に戻せるのか。
どのくらいのお金を失うのか。
信用を失う可能性はあるのか。

その大きさによって、判断にかける時間も、確認する量も変わります。つまり、すべての仕事を100%にする必要はない。必要な完成度は、リスクから逆算すればいい。
間違ってもすぐ戻せるなら、80%で動く。小さく試せるなら、80%で動く。
80%どころか、失敗しても得られるものの方が大きいなら、60%でもやってみる。

逆に、一度決めると戻すのが難しいもの、大きな損失につながるもの、人に重大な影響を与えるものなら、90%、95%、場合によっては限りなく100%まで考える。

大事なのは「これは何の仕事か」ではなく、「間違えたら何が起きる仕事なのか」を見ることです。

テスト環境でミスがあることと、本番環境でミスがあることには、雲泥の差があります。
もちろん、どちらも「ミスのないように」と言われてきたと思います。
でも、あえて言います。
テスト環境なら、間違っていても一度アップした方がいいことがある。
実際に触ってみないと分からないことがある。画面に出して初めて気づくことがある。誰かに見てもらって初めて分かることがある。そこで見つかったミスは、失敗というより、次の判断材料です。
逆に、本番環境でのミスが大きな信用低下や損失につながるなら、そこでは精度を上げる。

つまり、どこで失敗していいのかを見極めることも、仕事のスキルになる。
もっと言えば、どこならミスしていいかを判断できる人が優秀、ということです。

80%でいいものは、高速で進める(動く)

リスクから逆算して「これは80%でいい」と判断できたら、そこで残り20%を埋めるために止まらない。

資料を整えすぎない。
確認を重ねすぎない。
完璧な説明を作ってから始めない。

一度動いて、現実の反応を見る。その結果から残り20%を埋めていく。
つまり、80%で進むというのは雑にやることではなく、完成度を上げる場所を見極めること。
その場所で細部にこだわり完璧を目指していると、全体として何も進んでいない場合がある。その損失の方がミスをするよりもよっぽど大きくて、命取りになってしまう。

これまでにもあった仕事の仕方ですが、AIによって、その比重が一気に大きくなったように感じます。AI時代のスピード感は、新しい市場が立ち上がるときのスピード感に少し似ています。
きれいな仕組みを先につくるより、まず売ってみる。試してみる。反応を見て変える。より原始的な「商売」の競争原理が働く世界。そんなふうに感じます。

ただしここで注意点も。
AIで思いつき→調査→判断→実行が速くなっても、人間の体力や集中力は10倍にはならない。
判断が早くて動ける人ほど、全部やろうとして疲れる危険がある。
だから「80%で動く」と「全部やる」は別。今やる/あとでやる/やらないも大切な判断となります。
(これは、自分への投げかけでもあったりして)

動いた経験が、人間に残る

AI時代にのっかってみるということは、商売の根源を見つめることでもあると感じます。
資料づくりや整理は、何かを動かす準備であって動くことそのものではない。
今のところ、まだ動くのは人間。
そして動いた人間の経験こそが、その人間の価値となって積み上がっていく。

AIは、わたしたちが経験していないことまで教えてくれます。でも、自分が実際にやってみて得た経験と、知識は別のものです。
成功したことも、失敗したことも、怖かったことも、面白かったことも、人間の中に残って、次の判断に使われていく。

そう考えると、80%で動く意味は、単に速く仕事を進めることだけではないのかもしれません。
動いた分だけ、自分という人間の中に判断材料が増えていく。
AIが代わりに持ってくれる知識とは少し違う、自分の中にしかない経験の層になっていく。

でも、動いてみて得られるものは、それだけではありません。
AI時代にひとりで遠くまでいけるようになっても、人がなぜ人と仕事をしたいと思うのか。

次回は、AI時代、最後に残る最大の変数は「人間」。人と仕事をすることについて書いてみたいと思います。
最終回、「AI時代、最後に残る最大の変数は「人間」」です。

あさこ

しゃちょう

あさこ

企画からデザイン、イラスト、ライティング、レザークラフトなどとにかくなんでもできる。お菓子もつくるよ。

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