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Bit Beansが開設した童話読み聞かせサイト、ペケロンパでイラストを担当した社内デザイナーによる座談会の様子をお送りします。

手探りで始まった怒涛の動画作り 〜時間がない、ノウハウがない、でもやりたい!〜

5月1日に公開した「ペケロンパ」は、コロナ禍のなか、緊急事態宣言を受けて学校や幼稚園・保育園に行けない子どもたちを思って、4月中旬から急遽始まったプロジェクトでした。少しでも早く公開したいというプレッシャーの中、最初の3作品でイラストを担当した方々にその裏話を伺いました。

参加者紹介
安田裕美さん…イラストレーター兼デザイナーで活躍中の人
工藤美咲さん…イラストが得意なデザイナー歴3年3ヶ月のエース
長谷部はるかさん…イラストが好きな期待の新人デザイナー
(インタビュアー…藤田剛)

見様見真似で始まった動画作り

―最初はどんなふうに始まったんですか?

工藤)誰が何の絵を担当すると言うことも決まっていない時に、試しに書いてみてと言われて、私と安田さんが休みのうちに書きませんでしたっけ?

安田)やりたいですと私が手をあげて、絵コンテを1日で作って、こんな感じでやりたいと言うのを出村さん(弊社代表でペケロンパの作品を書いている出村孝雄さんの孫)にみてもらって。

工藤)書くとしたらどんな感じ、ということで、試しに書いてみようかとなって、私と安田さんが書いたらば、「これでいいじゃん」ということになったんですよね。その時は会社の仕事だと思っていなくて、ボランティアの気持ちで土日も含めて1週間くらいで絵を描きました。

↑「どんな感じに描けてますか?」「こんな感じです(写真添付)」で工藤さんから送られてきた最初のイラスト。しっかりとした描き込みに他のイラスト担当者たちがプレッシャーを感じたそう…

―出村孝雄さんの原作本も絵本ではなく、挿絵は入っていますが、あくまでお話が主体の本ですよね。動画にするのは苦労されたんじゃないですか。

安田)最初は、どういう動画を作るというのもみんなの間で固まっていなくて。

工藤)絵も、一枚あればという話も出たんですけど、今、Youtubeに読み聞かせ動画がたくさんアップされている中で、15分のお話に一枚だけ絵があるようなものを出しても誰もみないよね、という意見が出て。それならちゃんとやりたいよねということになって、お話に沿って絵コンテを作って、カットを十枚以上書いて、という流れになったんですよね。

安田)Youtubeに上がっている読み聞かせ動画をいくつかみて、この動きはやりすぎだよねとか、これくらいならできるかな、というのを探り探り進めました。以前やったことがある仕事ではなかったので、素材となる絵を描いて、動画にする方に、こういう動きにしたいという希望は伝えますが、後は自由に使ってもらって、お任せという感じでした。

長谷部)大学時代に映像の編集をする授業もありましたけど、絵コンテを作って、絵を動かすようなことはしたことがなかったので、先輩たちの作品を参考に素材となる絵を描いた感じでした。

安田)一番最初のとっかかりが大変かもしれませんね。話を段落分けして、どこに何を入れるか考えたり、どんな絵を入れようとか、色をどうしようとか。ラフを書いて絵コンテを作るところで大体の流れと絵の数が決まってしまうので、そこが大変でしたね。

―絵コンテを描くのは映画監督のような仕事ですね。我が社は動画が主体の会社ではないですから、皆さんも初めての体験だったんですね。それで、あの出来なのは驚きです。

注:絵コンテ:映像作品を作る際に、イラストで作る表で、映像のイメージを具体的にするための設計図にあたります。コンテは、英語のコンティニュイティ (continuity、”継続”や”連続”という意味) の略。絵の動きとセリフの対応や意図などを書いてイラストを書く人、動画を作る人の間で共有するのに重要な役割を果たします。

↑ こちらが安田さんの見様見真似の絵コンテ。場面の指示を合い番号を振るでもなく、色で指示しているあたりがイラストレーターっぽいなと思う。

―絵を描く上での工夫とか、苦労を教えてください。

工藤)最初は、時間もないので、自分が一番慣れている方法でと思って、趣味で絵を描いている時と同じように、アクリル絵の具と色鉛筆で下絵を描きました。それをスキャンして、フォトショップで色味を調整したり、修正したりしています。

長谷部)私は筆を使って一発でかわいい線を描く自信がなかったので、イラストレーターを使ってデジタルの線でどんどん書いていきました。SUICAのペンギンを作った坂崎千春さんとの絵のようなコロコロした感じが好きだったので、そういうかわいい感じを目指して書きました。試行錯誤して色々描く時間もないなと思ったので、以前にやったことがある書き方で。色を選ぶのが下手というか苦労したところだったので、他の絵本を調べて色合いを見たりしました。

安田)色は、子どもが見るものなので、カラフルなほうが喜ぶよというアドバイスをもらったので、あえていっぱい使おうと思いました。一番最初に書いたお話「島の王さま」がリズムがあるというか話に繰り返しがあるので、そのリズムを絵でも出したいなとか。擬人化されたものとかアニメっぽい絵を描いたことがないので、シンプルにアクリル絵の具で書いて、スキャンして目だけフォトショップで入れたりとか。目は失敗できないので。

長谷部)苦労というか、1作目は手探りで書いて、作った素材が足りなくて動きが短調になったり、寂しくなってしまった部分があったので、2作目は動かせる素材を事前に作って、場面をちょっとでも豊かにできたらというのを気にしました。

工藤)構図が短調にならないようにというのは気をつけました。私の2作目になった「花火」は森の中の話が続くので、森背景を2、3枚作っておいて、そこに登場人物を別々に書いて、フォトショップを使って組み合わせるという手法にしました。キャクターはシンプルに、背景をしっかりというメリハリをつけたくて背景に力を入れました。

長谷部)普段から絵を描く時に、キャラクターを描くのは好きなんですが、背景を描くということがなくて。でも2作目の「栗ひろい」では冒頭のお城のシーンはお城とわかる背景を入れました。

↑ 確かにお城ってわかります!みなさんいろいろな試行錯誤して作っているのですね。

―出村孝雄さんの音源にインスパイアされたところはありますか?

工藤)演じているというより、本当に、子どもに読み聞かせているというテンションだったので、癒し効果があるなと感じました。聞いていてすごく心地良くて。この心地よさが絵にもあるといいなと思って描いていました。 

長谷部)間が独特な喋り方で、文字で読んでいる時には気づかないような強調があったりするので、声を主体にして絵コンテを作ったほうが整合性がある動画が作れるなと思いました。

安田)私は1本目は出村さんの声のもので、2本目は別の方が読んだものだったんです。出村さんはご自分でアレンジしてらして、声とテキストが結構違うんですよ。なので声を聞いて描きました。先ほどリズムを大事したいと言いましたけど、それも文字だけだと気づかないんですけど、声を聞くと自然に入ってくるんですね。2本目の時は進行上、同時並行だったので音源は絵を描いている途中で出来上がったのを聞かせてもらいました。

工藤)声があるとないとでは、やはり絵も変わるんじゃないでしょうか。喋り方で登場人物のキャラクターや表情も変わります。登場人物をどんな風に読むか声のキャラ作りが先にあると、それに応じて絵のキャラ作りもやりやすいなと思いました。

↑ 工藤さんが描いた動物の幼稚園の一場面。音声が最初からあったからか確かに絵が生き生きとしています。

作品リスト・最初に公開した3本の作品

え・安田裕美「島の王さま」

「ペケロンパ」と言うプロジェクト名は、この作中で使われている「魔法の言葉」から名付けられました。キャラクターの憎めない表情がキュート。

え・工藤美咲「てんぐ風」

出村孝雄さんの代表作のひとつ。登場人物も多くボリュームのある作品ですが、非常に高いクオリティでまとまっていると思います。

え・長谷部はるか「ふしぎな卵」

このイラストを見た時に、このテイストなら小さい子が色ぬりをするのに向いているのでは…?と言う気づきがあり、のちにチラシを作った際に裏面のぬり絵にもなりました。

どの作品もそれぞれの良さがあっていいですね。まだまだ座談会は盛り上がり、次回#2に続く!

御社の魅力発信、お手伝いします。

まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

デザイナー

鈴木 理津子

なんでもできるデザイナー兼カメラマン。常に黒い服を身に纏っているため、たまに明るい服を着てくると社内がザワつく。

なんでもできるデザイナー兼カメラマン。常に黒い服を身に纏っているため、たまに明るい服を着てくると社内がザワつく。