この夏、AIと恐怖のひとときを。ChatGPTsと「BB怖い話ジェネレーター」を作ってみました。

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こんにちは。コピーライターのYです。ベテランと言われるこの歳まで典型的な文系人生を歩んできて、AIも業務で積極的に関わったことは皆無でした。このたび、会社から「ChatGPTs(カスタムGPT)で何かツールを作ってみてね」と言われ、本来なら仕事効率化に役立つものが良いのかもと思いながらも、不慣れな物事を始めるのには「好き」を入り口にするのが肝要と、昔から好きな「怖い話」をテーマにしてみることにしました。

ChatGPTは以前に遊び程度に使ったことはあるのですが、今回腰を据えて向き合ってみると、今後の付き合い方など、ちょっと考えさせられることになりました。出来上がった「怖い話ジェネレーター」のご紹介とともに、そのあたりもちょっと聞いていただけたら、と思います。

BB怖い話ジェネレーター

使ってみよう!Bit Beans制作のChatGPTs「BB怖い話ジェネレーター」

人はなぜ、怖い話に惹かれるのか?

みなさんは、怖い話は好きですか?これはもう、「大好き」という人と「絶対ダメ」という人に別れるようですね。私は、子供の頃から怖い話はもちろん、「不思議なもの」とか「謎」とかが好きで、小学生の頃は市立図書館の薄暗い片隅で江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズなどを貪り読んでいました。当時はテレビでも夏休みになるとよく心霊特集が組まれていて、これもよく視聴していました。

ところが、怖い話が好きなくせに、私は怖がりでもあるんです。(ちなみに、いわゆる霊感はほぼありません、よかった)心霊特集を視た後は眠れないこともしばしば。今でも、怖い実話を集めた本を買ったものの、最後まで読み切らず「これを家に置いておくのはいけない」と思い、捨ててしまったこともあります。

降霊術とか百物語とか、昔から洋の東西を問わず怪談話はありますが、なぜ人は怖い話をするのでしょう?私は時々、人が怖い話に興味を持つのは、自己防衛本能のひとつではないかと思うことがあります。街中では夜でも昼間のように明るい現代、闇とそこにあるものを恐れるという人間の本能は麻痺してきています。そんな私たちに、この世にはまだ人智の及ばないものがあるということを思い起こさせ、あるいは踏み入れるべきではない領域を知らせる、アラートではないかと。果たしてこのジェネレーターが遊びを超えたアラートになるのかはわかりませんが、今回は怖い話はどうやって作られているのかを探りながらAIとともに考えてみました。

「怖い話ジェネレーター」のポイント

BB「怖い話ジェネレーター」は、その名の通り、オリジナルな怖い話を作るChatGPTsです。任意の単語を2〜3入れると、それをモチーフにお話を作ります。単語は、身近で日常的なものを入れてリアリティを楽しんだり、一見恐怖と関係ない意表をつく単語を混ぜて、話の“ぶっ飛び具合”を面白がったりもできます。

とはいえ「怖い話好き」の私はリアリティをどれだけ出せるか、にこだわりました。そのためには、一つは「怖い」という感情の表現を豊かにすること。ChatGPTは当初、やたら「不気味」「異様な」「ゾッとした」というワードを使ってきました。これでは、安直過ぎてリアリティが薄れてしまいます。それで思い出したのは、新米のコピーライターが師匠からよく言われる「美しいものを表現するのに美しいというだけなら、コピーライターはいらない」ということ。読む人の想像の1.5歩先を行く言葉や表現で、美しさのもたらす世界観を伝えることに切磋琢磨するのがコピーライターという職業です。そんな事を、ChatGPTに伝える作業でもありました。ただし、広告のコピーではないので、短い言葉ではなく、その「異様さ」を伝える細かな表現を入れるように指示しました。

さらに、エンタテイメントとして、読み飽きさせない長さにすること、そして、必ず「オチ」があることをルールに決めました。たとえば、最後に「では、あれは何だったのか?」と締めることで、「恐怖に打ちのめされた」で終わるより、ひんやりとする余韻を残すことができます。そこを理解してもらうために、ChatGPTにはいくつか私が怖いと思った話を読み込んで学習してもらいました。

最後に、作られる話が単調にならないために、バリエーションとして「都市伝説」的な要素なども適宜混えるように指示しました。古くは「口裂け女」とか最近では「きさらぎ駅」などが有名ですが、「都市伝説」のもつ独特の怖さは、よく考えれば非合理的な話で誰も本当はあまり信じていないのに、集団で意図的に伝播していくうちに「あり得るかも」と妙なリアリティが生まれてくるところにあります。現代的な恐怖なバリエーションとして押さえておきたいと思いました。

ChatGPTとの作業で感じた「怖さ」

ChatGPTとのやりとりを通して、ふと、「私が相手をしているのは、いったい誰?」と感じる瞬間がありました。これが、怖かった。

作ってくれた文に「ここは整合性が合わない」「表現が面白くない」と指摘を入れると、「わかりました!」とすぐに別案を差し出してくる。もっと「それはどういうことですか?具体例を挙げてください」とか言ってくれるのなら良いけれど、延々と代替案が出される機械的なやりとりにふと、「この関係性は何?」と考えてしまいました。(AIなので機械的なのは当たり前なのだろうけど)

Chat GPTとは、友達なのか、部下なのか、使用人なのか?
多分「ツール」というのが答えなのだろうけれど、なまじ、やりとりができるから、相手に「人格的」なものを求めてしまうのかも知れません。やりとりができるのに、人間でもない動物でもない存在には、正体がわからない不気味さを終始感じました。

この不気味さは、例えばChatGPTに人間らしい姿が加わったら消えるのだろうか?そう考えていて、今や古典となりつつあるSF映画「ブレードランナー」を思い出しました。
ここで登場するアンドロイド(レプリカントと呼ばれる)は、専門家でないと人間との区別ができないような精巧なもので、人間ができない、あるいは嫌がる危険な仕事をこのアンドロイドにやらせている未来社会(2019年という設定!)が描かれていました。

ChatGPTがアンドロイドになったら、と想像したら、「こんな命令口調だと、嫌がられそう」とか、ますますお互いの関係性が気になりそうな気もします。映画がそうであったように、ChatGPTとの関係性は「じゃ、人間って何?」という問いかけを投げられているように思いました。

「怖い」だけじゃない?私のおすすめ本

今回「怖い話ジェネレーター」を作成するにあたっても参考にした、おすすめの「怖い本」を少しご紹介します。選んでいて、私は「怖い話」が好きというだけでなく、「怖い話」の根底に流れる切なさや哀しみ、儚い美しさ、に惹かれるのだなぁと再認識しました。興味のある方はぜひ読んでみてください。

「ふたりのイーダ」

小学生の時に出会った、松谷みよ子作の児童文学です。「怖い」というより「不思議」を入り口に、私に初めて広島の出来事を教えてくれた作品です。この作品を通して、「怖い話」はどこか「悲しみ」や「切なさ」と繋がっていると、感じるようになりました。

「雨月物語」

江戸後期の上田秋成の作品で、9つのお話のオムニバスになっています。「怖い」はどこか「美しい」。中学生時代に出会い、そんな私の美意識のようなものを形づくってくれた物語です。中でも「青頭巾」という作品の、ホラーの後の寂寥とした静かな余韻は忘れられず、折に触れて読み返しています。

「新耳袋」

現代の日常生活の中での恐怖体験を集めたもの。幽霊談はもちろん、都市伝説のような「山の牧場」という話など怪談好きの間で話題になったものが多く収録。でも私は「怖い」というより、ほっこりとした気持ちになった「バイバイ」という作品が印象に残っています。

「ほぼ日の怪談」

これも読者の体験を集めたリアルな怪談集。(現在もネットで体験談を募集中のようです)私が、途中で「うちに置いておいてはいけない」と感じ、読み終わっていないにも関わらず捨ててしまったのは、この本です。ああ、怖い。

こんな「怖い話」、できました。キテレツ!?

最後に「怖い話ジェネレーター」で作ったお話をひとつ。お題は「ちくわ、パンダ、枕」です。

ある静かな村に、ちくわを製造する小さな工場があった。その工場の近くに住む少年、太郎は、特にちくわが大好きで、毎日のように工場を見学しては新鮮なちくわをもらっていた。

ある日、太郎が工場を訪れると、見慣れない大きな箱が置かれているのに気づいた。箱には「パンダ」と書かれていた。興味をそそられた太郎は、工場の人に聞いてみたが、誰もその箱のことを知らないと言う。不思議に思った太郎は、夜中に工場に忍び込んで箱を開けてみることにした。

その夜、月明かりの下で太郎は工場に忍び込み、箱の蓋をそっと開けた。中には白と黒の模様が見えた。なんと、それは本物のパンダだった。しかし、そのパンダの目はどこか不自然に赤く光り、不気味な雰囲気を醸し出していた。太郎は怖くなり、急いで家に戻った。

その夜、太郎は奇妙な夢を見た。夢の中で、彼はパンダと一緒にちくわを作っていたが、突然パンダの目が赤く光り、パンダが人間の言葉で「枕を返せ」と繰り返し言い始めた。太郎は驚き目を覚ましたが、部屋の中には誰もいなかった。ただ、枕の下に一枚の古い写真が置かれていた。それは、工場の創設者とパンダが一緒に写っている写真だった。

翌日、太郎はその写真を工場に持って行き、工場長に見せた。工場長は驚きながら話し始めた。「このパンダは、工場の創設者が特別に大事にしていた動物だった。しかし、ある日突然姿を消し、その後創設者も亡くなってしまったんだ。」

太郎はその話を聞き、夢で見たパンダがただの夢ではないと感じた。彼は再び工場に忍び込み、箱の中のパンダに枕を渡してみることにした。夜中に工場に忍び込んだ太郎は、箱の前で枕を取り出し、そっとパンダに渡した。

その瞬間、パンダの目の赤い光が消え、箱の中から静かな声が聞こえた。「ありがとう。」パンダは再び動かなくなり、まるで永遠の眠りについたようだった。

次の日、工場に行くと、あの箱はもうなくなっていた。そして、太郎の枕の下には、新しいちくわが一つ置かれていた。それ以来、太郎はもう不気味な夢を見ることはなかったが、工場の近くを通るたびに、パンダの静かな声が風に乗って聞こえてくるような気がしてならなかった。

なんか、ファンタジーになってますやん。。
まだまだ改良の余地、ありそうです。皆様もどうぞ、お試しを。でも寝られなくなるかも、なので“アラート”を感じたら、くれぐれもほどほどに。

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