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みなさん、食べるということを楽しんでいますか?
旬のものの味わいや、出来立ての美味しさ。あーお腹が空いたなあ、何を食べようかな。いい匂いがする、そうだ今日の料理はこれにしよう!
食べたいと思うこと、食事を楽しむこと。
食べるということは生きていくことと同義。
Bit Beans 制作の「レシピのないレシピ」というこちらの本が、第23回日本自費出版文化賞 特別賞 グラフィック部門を受賞したので、改めてこちらにその本をご紹介します。
この本の料理は全て、料理研究家の藤野嘉子さんのもの。写真はさまざまな料理の写真などで活躍されている中本浩平さんに撮っていただきました。けれど、レシピのないレシピ、というタイトルの通り、いわゆる分量や手順などの書かれたレシピはありません。旬の食材やそれを食材とした美味しそうな料理の写真、そしてその料理の美味しさを伝える文章で構成されています。そして本の体裁は今時珍しい重厚感で、布張りのハードカバーで220ページを超える図鑑のようなフルカラー。
本、というよりも雑貨のような「レシピのないレシピ」。
わたしたちBit Beans がなぜこの、ある種趣味的なこの本を作ろうと思ったのかその想いを伝えたいと思います。
目次
「食べたい」を感じられない若者たち
「何を食べていいかわからない」そう言ってただ栄養を摂るためだけに食べ物を口にする。
「一番うまいと思うのはコンビニのチキン」という声が聞こえ、ポテトばかりを食べる女性や、母親の手料理を知らない学生もいます。食べるのめんどくさいけれど、食べないと死んじゃうから食べてる。若者がそうつぶやくのを聞いて、今一番足りないものは「食に対しての欲求」であると確信しました。
「おいしそう、食べたい!」そんな欲求がないと「作りたい!」にはなかなか到達しにくいものです。世の中は、おいしい料理の作り方(=レシピ)にあふれていますが、今必要なのはその前にあるはずの「おいしいものを知る」「食べたいと思う」ことではないのか。本当においしいものを、おいしそうに感じられる、口の中に唾があふれるようなものをつくりたい。それがこの本をつくる一番の動機となりました。
紙というプロダクトの使命
料理をする時に人が見るレシピは圧倒的にWEBが多くなりました。わざわざ本を買わなくとも、WEB上にはおいしいレシピがあふれています。そしてレシピに限らず、情報はWEBにある時代。ならば紙でできた本とは何なのでしょう?答えはその「物質」としての存在感にあると考えます。
ひらけばそこにいる人が全員で覗き込むことのできるもの。
その場に置いておいて、検索することなく目にすることができるもの。
ある意味本は生活の中に物質として存在する雑貨のようなもので、人々の暮らしの中にちょうどいい距離感で溶け込むことができます。
WEB上の情報は、検索しないとたどり着けないものです。それは興味を持った人しか到達しない情報。ひとの「食べたい」欲求を喚起するためのトリガーは、紙でできた本(=物質)だからこそできること、と考えました。紙に描かれるものは、単なる「情報」であって欲しくない。紙で描かれたものは、心に響き、ずっとそばに置いておきたいようなものであるべきだと考えたのです。
つくり方より大切なもの
共働きの世帯が多くなった昨今、平日の料理は以前ほど時間をかけられないことも多いでしょう。そして、たとえばひとつの料理をつくるにも、惣菜キットを使う、手順を省く、作り置き食材を利用して…その時の状況によって、つくり方はいくつも考えられます。もちろん時間のある時には、素材を選び丁寧につくることは喜びになりますが、工程を決められた作り方が、時に足かせとなってつくる気持ちが萎えてしまうこともあるでしょう。だから、本の中には詳しいレシピを掲載するのではなく、あくまで図鑑のような「おいしい料理」の列挙にとどめました。
掲載されている料理はごく一般的なもの。
名前で検索をかければいくつかの作り方が出てくるでしょう。
そうしてWEB上にいくつもあるつくり方の中から、今自分ができるやりかたでつくればいいし、もし時間がないのなら、買ってくるのでも良いでしょう。つくり方にこだわるよりも、暮らしの中で「食べる」ことを楽しめることの方が大切だと思っています。
*この本に掲載された料理は全て料理研究家の「藤野嘉子」さんの料理です。家庭料理が得意な藤野さんのレシピは本の中のQRコードから全て閲覧できるようにしました。どれも本当においしい料理ばかりです。
また巻末には全ての料理に関して、ごく簡単なつくり方をいれました。料理が得意な方なら、このつくり方を読むだけで、似たようなものが再現できるでしょう。
未来に残したいもの
この本は重厚感のある作りになっています。布張りのハードカバーの本は、今では印刷会社でもなかなか取り扱うことがないと聞きます。本をデジタル化して持たない人も増えてきた昨今、わざわざそんな贅沢なつくりにしたのは、この本を「一生もの」として身近なところへ置いておいてほしかったから。リビングに1冊あることで、毎日の暮らしの中で開き、「食べる」を楽しむことを忘れない一生を送ってほしい、から。
季節の食材と、その代表的な料理を眺めているうちに、「食べたい」という衝動が、「美味しそう」という欲情が湧いてきて、例えば子供の「これ作って」という声に押されて家庭がシアワセに包まれて動き出す。
未来にあっても日本の良き食卓を再現させてもらえるように。デジタル化がより進んだ10年後の全ての家庭のリビングにこそ必要な、シアワセのためのバイブルとして、この「レシピのないレシピ」という本を世の中に送り出しました。
いかがでしたか?
はい、かなり想いが溢れてる、本です(笑)。
ハードカバーで春夏と秋冬の2巻をご用意しています。
各6,000円、2冊で12,000円(税別)という価格帯も含めて、手に取りやすい本ではないかもしれませんが、手に入れていただければ、きっと満足感を味わっていただけるはず。
ご結婚やご出産のタイミングなど、新しい人生の門出を迎える大切な方への贈り物としても、ぜひご検討ください。
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