デザインのしんどさを「デザイナー語」じゃなく「人間語」で説明してみる

あさこ

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あさこです。
社長ですが、ライティングもします。プランニングもします。でも、元々は美大を出ているデザイナーです。 この年度末の忙しさでデザイナーの手が足りなくなり、わたしがとあるパワーポイントを整える、というデザインを担当することになりました。

で、やってみたのだけれど、久しぶりに純粋なデザイン作業に没頭する中で、「ああ、デザインってこうだったな」と思い出すことがたくさんあったのですね。
全体のバランスを見ながら細かい調整を繰り返すことや、思った以上に時間が溶けていくことや。何年経っても、デザインをするときには独特の不安があることや、頭の使い方の違い、そして感情がどう揺れ動くのかなど…を、改めて実感しました。

デザインは、手を動かすまで正解が見えない仕事。直感に依存するため、時間が溶け、修正のたびに精神的な負担がかかる。気づかぬうちに疲弊する

この経験を通して、デザインの「しんどさ」を、デザイナー以外の人にも伝わる形で言語化できる気がしたので、今回、この記事を書いてみようと思います。

デザイナーは締切を守る、ライターは遅れる?!

もうかれこれ20年以上前ですが、とある雑誌の編集者の方がこんなことを言っていました。

ライターはわりと締切に遅れるんだけど、デザイナーは締切の前に出してくることが多いんだよね。

もちろん例外もあるでしょう。でも、あながち間違っていないんだろうなあ、と思ったことを思い出します(ライターさんのことはわからなかったけれど、デザイナーが早く出してくるという部分)。

デザイナーにもいろんな人がいます。ルーズな人だっています。
それでもデザイナーが締切よりも早くに提出しがちなのは、たぶん単なる「几帳面だから」ではなく、デザイン作業の特性によるものなのだと思います。

デザインは「やってみるまで出来るかわからない」

デザイナーに「これ何日でできる?」って聞けば、「2日くらいですかねー」など、具体的な返事が返ってきます。そういう時間の見積もりは立てられます。
でも、デザインとして「正解」を見つけられるかどうかは別の話。やってみないとわからない!
ライティングなら、調子が悪くても一旦書いて、次の日に見直せば仕事として成立する。プランニングも、何も思いつかない時は辛いけれど、ふとした瞬間にアイデアが降りてくることもある。

でも、デザインは違う。

手を動かしてみないと、何も始まらない。予想と違うものができたり、微妙なバランスのズレが全体を崩したりする。だから、締切ギリギリまで放っておくのはとても怖い!

そして、うまくいかないときは時間の流れが違う。もう「時間が溶けた」としか表現できないほど、何が間違いかも見えなくなり、あっという間に夜がくるのです。

デザインには、感情が乗る

また、デザインが「しんどい」ひとつの理由に、作業に感情が直結しやすいことがあると思います。
不安な時にデザインをすると不安が増幅されるし、頑張って作ったデザインに変更が入ると、想像以上にショックを受けてしまう。
ライティングや企画のダメ出しは、「残念!」くらいで切り離せることが多いのだけど、でも、デザインはちょっと危うい。

今回これがすごく気になって、ちょっと調べてみたのだけれど、視覚的な創造というのは、脳の感情を司る部分に影響を与えるようですね。
論理的思考と全然違う脳の分野を働かせて行うデザインの作業は、もうぐっちぐちゃの言語化できないもやもやを、言葉に頼らずに整理整頓するような作業。

言葉のない世界で起きる感情の混乱が整理しにくいことは、理解してもらえるのではないでしょうか。

デザインは疲れるけど、またやりたくなる

ということでデザイン作業。
それは、時間の感覚が違って、感情の近くを刺激されて、言語のない世界をさまようような作業、でした。

最後に、わたしが(大昔)デザイナーだった時の体験を──。
あまりの激務に疲れきってしまって、「わたしもう一生デザインしなくていい!」と思って仕事をやめたことがありました。もうね、デザインとか考えるだけで吐きそうだった。
でもそうして1ヶ月くらいした時、ある日車に乗っていたら、目の前を走るトラックの後ろ扉に不思議な形のシミがついていて、知らずに目で追って「あ、これかっこいい…」と感じたんです。「ここで切り取ったらいいデザインになりそう」と、心地よい風を感じた瞬間。
そこから、もう一度デザイナーに復帰したのだけれど、何が言いたいかと言うと、デザインは疲れたらやりたくなくなるけれど、元気になればまたやりたくなるものでもあるのよ、ということ。

しんどいけれど、幸福。
自分の手で最高のバランスを生み出して、バチっとハマる世界をつくれること。その気持ちよさを感じられるのはデザイナーの特権だなと、思います。

がんばれ、デザイナー!

あさこ

しゃちょう

あさこ

企画からデザイン、イラスト、ライティング、レザークラフトなどとにかくなんでもできる。お菓子もつくるよ。

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